三上山の南を東西に流れる川岸にあるさくら緑地。川向こうに美しい稜線の近江富士、三上山を望むことができ
る美しい場所である。
三上山にはこんな伝説がある。今から千年も前の延喜十八年(918)、俵藤太(藤原秀郷)という武勇で名高い豪
傑が瀬田の唐橋を通らうとすると、橋の上に大蛇が寝そべっていた。藤太が大蛇をまたいで進まうとすると、大
蛇は訴へた。自分は琵琶湖に住む大蛇だが、三上山を七巻き半する大ムカデのために、一族が滅ぼされようと
していると。そこで藤太は、大蛇の巻き起こす水柱に乗って三上山へ飛んで行き、唾をつけた矢で百足を退治し
た。藤太はたくさん貰ったお礼の中にいつまでも米が出続ける米俵があった。藤太の「ムカデ退治」の後、近江
の国は平穏な日々が続き、三上山のあるこの野洲平野はおいしい米の産地になって栄えたという。もう一つ話
をなぐさめ、その義挙を後世に伝えようと明治28年(1895年)に慰霊碑が立てられた。毎年10月15日には、遺徳
を讃える天保義民祭が行われているという。