納する学生の姿も多い。北野下の森に店を構える「長五郎餅本舗」の名物長五郎餅の店にも大瀬の人々が列
を作っていた。
人の老人がいたという。境内の出店の者に小さな餅(もち)を5、6個売ると去って行く。どこから来てどこへ帰るの
か誰も知らない。薄い餅皮にあんを包んだ上品な餅で、次第に評判になった。ある時、一人が老人に尋ねると
会を催すことになり、市中に高札を掲げて上下の別なく参加を呼びかけた。長五郎も出店仲間に言われて茶屋
を出し、秀吉に餅を献上したところ大層気に入られ、「以後『長五郎餅』と名乗るべし」と命名されたという。