突然、冬の冷たい空気を切り裂くようにして鋭い汽笛が耳に飛び込んできた。機関車館では一日三回館内展示
運転線の往復1kmを約10分間にわたり、蒸気機関車ＳＬスチーム号の旅の気分を満喫できるイベントがある。わ
たしが訪れたときは三回目の乗車も終わっていて残念ながら乗車は出来なかったが、その三回目の運転後に
は機関車に石炭や水を補給するため転車台で機関車を回転させて車庫に入庫する姿を見ることが出来るので
ある。あわてて車庫から出て転車台に駆け寄る。機関車は汽笛とともに蒸気の射出音を館内に響かせ、真っ白
な蒸気を吐き出しながら転車台に近づいてくる。蒸気を吐く機関車のその情景に懐かしさを覚える年代の人や初
めて眺める若い人や子供達、館内の人々は歓声を上げながら転車台の周囲に集まってくる。前から機関車は
転車台に乗り入れ停車すると、転車台が時計と反対に回転する。そして所定の場所で転車台が止まると機関車
は一瞬大きく蒸気を吐き出してからバックで車庫に入庫する。
機関車の上部蒸気弁から吹き出た蒸気がやや西に傾いた冬の陽に明るく輝いていた。
