全山紅葉も迫力があって美しいが、この水口城の大手門の横に植わった数本の紅葉は、そこにしかないだけに
その美しさと勢いにいさぎよさが感じられる。城に桜がよく似合うがそれは一気に咲き誇り、すぐに散ってしまうい
さぎよさが、城とそこに運命をゆだねた武士達の心意気に通じるものがあるからだろう。だとすれば最後の美しさ
を見せて散りゆく紅葉にも同じことが云えるのではなかろうか。それも春に咲く桜よりも、冬に向かう秋の紅葉の
ほうがなおさら城と武士の生き様に合っていると思える。
晩秋の雲が切れて陽が射し、紅葉が輝くように燃え出した。