池泉回遊式庭園の奥から右回りの道を進むと千体地蔵参道へ出る。本堂へ向かう参道の両側には千体地
蔵が並び、参道のそばの平地にも地蔵が整然と立ち並んでいた。現在1900体あるという。同じ大きさの
同じ顔かたちのようだが、微妙に違う。風車が飾られ、番号が打たれている。1番は武村元知事のお地
蔵さんだそうだから、そんなに古くはない。千体地蔵はすべて個人所有であり、いろいろな思いを込めて
寄贈しているのだろう。よだれかけはカラフルで新しいものが多い。毎年全国の所有者から新調したよ
だれかけを送ってくるという。古い着物をほどいたのであろうか昔の柄物もあれが、水子供養であろうか
子供に人気のあるキャラクターを柄にあしらったものもある。
参道を中年の女性が1人で登ってきた。地元に住んでいるという。陽が傾いた時間にこの地蔵に挟まれ
た静寂な参道を1人で登っているとき、一陣の風が吹き一斉に何百何千の風車が回りだすと、風を切る
音と回転音の大きさに驚かされると同時に薄気味悪さを覚えるという。参道がそのまま冥土に繋がって
いるような思いに駆られるのであろう。いずれにしてもこの千体地蔵は圧倒的な迫力で参拝者に迫って
くる。