まだ京都の夜には早いと思っていた桜が、この日ここ白川ではすでに満開であった。「かにかくに祇園は
恋し寝るときも枕の下の水の流るる」と詠んだ明治の歌人、吉井勇を偲んで建てられた歌碑の前では、京
の夜桜の幕開けのセレモニーで和太鼓の演奏が行われていた。
これからしばらくは日本人の桜に対する狂乱が始まる。先日ニュースで日本の桜の印象を聞かれた外国人
が桜の美しさに魅せられて、日本人の桜に対する気持ちが理解出来たと言っていたが、まさにその通り
はあるまいか、一つの植物にその開花時期のわずかな期間、日本挙げて桜を見るために民族移動するよう
な現象は日本だけだろう。かく小生もこの期間はカメラをもって桜狂いをしなければならない。