京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

羽幌・天塩からサロベツ原野へ

天売島、焼尻島は羽幌(はぼろ)町に属し、両島への連絡船は羽幌港から出ている。羽幌から天塩と、天売島、焼尻島を車窓から眺めながらオロロンラインをさらに北上する。天塩町に近づくといつの間にやら車窓から天売島、焼尻島の島影は消え、利尻富士利尻昆布で有名な利尻島の島影が視界に飛び込んできた。なおしばらく走ると約3㎞先に立ち並ぶ無数の白い塔が視野に飛び込んできた。アイヌ語「浜にある道」にちなむ「オトンルイ風力発電所」の巨大風車である。3.1キロにわたって28基ある風車の眺めは実に壮観である。1基の高さが、直径50.5mあるローター含めて最高99m(支柱[ハブ]だけで74m)もある巨大なもので、この風力発電所は、年間を通じて安定した風があることや広大な土地があることなど条件に合うとして、2000年10月設立の幌延風力発電株式会社が2001年4月に着工、同年末以降の試運転を経て2003年2月に本格動を開始したとう。オランダ・RAGAWAY社から取り寄せた風車は、1基あたり750キロワット、かける28基で、合計最大21,000キロワットを発電できる。ここから北海道電力幌延変電所まで約17㎞の特別高圧線(送電線)で年間約5,000万キロワットを送電しているという。巨体風車に見送られてなお進むとサロベツ原野が広がる。湿原の規模は200平方kmにも及ぶ広大なものである。サロベツの地名はアイヌ語の「サル・オ・ペツ」(アシの生える川)に由来する。泥炭性の低湿地であり、海岸砂丘とその背後にある宗谷丘陵によって阻まれた潟湖が、泥炭による長い堆積作用によって形成された。また、国指定サロベツ鳥獣保護区(集団渡来地)に指定されている(面積2,560ha、全域が特別保護地区)。

まことに雄大な風景でありもう少し時間を取りたいところであるが、わたしどもは稚内のノシャップ岬の落日を見なければならない。後ろ髪を引かれる思いでサロベツ原野を後にしたのであった。